フリーランス・個人事業主の年収別の税金計算の目安と節税対策

2020 3/19
フリーランス・個人事業主の年収別の税金計算の目安と節税対策

フリーランスになって大部分の方が苦労するものといえば、やはり税金でしょう。

会社の中で正社員として働いていたら確定申告も必要最小限で行えばよいですが、フリーランスとなると経費の計上から収入の把握、帳簿の記帳などすべて一人でこなさなければなりません。

手間がかかることはもちろんですが、最も気になるところは支払う税額がどのくらいかかるかではないでしょうか。
フリーランスとして生活をすると、所得の額や控除額の計算方法が少し正社員とは異なります。

何とかなるだろうとたかを括っていたら、思ったよりも税金が高くて支払いに苦労するというのもフリーランスによくある話ですが、そこに気を取られて仕事に支障をきたしてしまっては本末転倒です。

こちらの記事では

  • フリーランスが支払う税金の種類
  • 年収別の税金の目安
  • 税金を抑える為の対策

について解説します。

安定してフリーランスとして生活を続けるのであれば、正しい税金の知識は必須です。
大まかにでも支払う税金を把握するだけでも余裕ができますので、税金が気になるフリーランスの方はぜひご参考にしてください。

目次

フリーランスが支払うべき税金の種類

税金のイメージ写真

フリーランスが支払う税金の種類は正社員が支払うものと大差ありませんが、注意すべきは正社員が給与から天引きされる税金も自身で支払わなければならないという点。

また、フリーランスとしてある程度以上収益が出ている場合に加算される個人事業税には注意が必要です。

どの程度の金額が課されるかという部分は下の項で詳しく解説しますので、こちらではどういった種類の税金なのかとその計算方法を確認してみてください。

住民税

住民税は在住の市町村と都道府県から徴収される税金です。正社員の場合は給与から天引きされるものですが、フリーランスの場合だと確定申告の際に税額が決定し、一括または年4回に分けて納付することになります。

確定申告の際は、所得税に関する申告をすることでそこから住民税も算出されるので住民税を別途算出する必要はありません。

計算方法
  • 市区町村民税の場合:(所得金額-所得控除)×市区町村民税額
  • 都道府県民税の場合:(所得金額-所得控除)×都道府県民税額

市区町村民税額、都道府県民税は各自治体によって異なりますので、お住まいの自治体のページで確認してみてください。

所得税

所得税は、その名の通り所得の額に応じて加算される税金であり、住民税同様に確定申告によって税額が決定します。

計算方法

(所得金額-青色申告特別控除-所得控除)×所得税率-所得税控除額

この中でも重要なものが青色申告特別控除であり、フリーランスが節税をする上で非常に有用なものです。

具体的な青色申告の方法は後述しますので、こちらではこのような計算方法で所得税が決まるということをおさえておいてください。

国民健康保険料

保険料の支払いは正社員であれば社会保険に加入しますが、フリーランスの場合は国民健康保険に加入することになります。

この二つの違いを大まかに説明すると、「個人で保険料が算出されるのが社会保険で、世帯単位で保険料が算出されるのが国民健康保険」であるということです。

社会保険は被扶養者がいても支払う税額は変わりませんが、国民健康保険には被扶養者だとしても世帯内の人数が多ければその分税額は加算されます。

計算方法

基準額(所得金額-基礎控除)×所得割額+均等割額

基礎分、支援金分、介護分と3つの保険料から成っており、介護分保険料は40歳以上の場合に上乗せされます。

国民年金税

年金の支払いも、正社員の場合と異なりますので注意が必要です。
正社員ならば原則は厚生年金、公務員であれば共済年金に加入することになりますが、フリーランスはそれらに加入することが出来ませんので国民年金を支払うことになります。

国民年金の支払額は年度ごとに異なります。

例えば平成30年度の国民年金保険料は16,340円/月、平成31年度は16,410円/月の支払いが必要です。

国民年金に支払った額は、そのまま「社会保険料控除」となります。
これは、確定申告の際に記載することで所得金額を減らし、税金を抑えることができるというものです。
節税の為にも、確定申告の際に申請を忘れないようにしておきましょう。

個人事業税

個人事業税はフリーランスや経営者など、会社に属して働く人以外に課せられる税金であり、年間290万円以上稼いでいる方は納税の義務があります。

税率は業種によって変わってきますが、マッサージや鍼灸など医療に類する類の事業であれば3%、畜産や水産は4%、その他の職種は5%となっています。法定業種の各税率であれば、東京都主税局のホームページで確認することが出来ますので、自身の職種の税率を調べておくと良いでしょう。

計算方法

所得(収入-経費-専従者給与-控除)×事業ごとの税率

【年収別】フリーランスが支払う税金の目安

さて、こちらでは実際にフリーランスの方が税金を支払う場合を想定して、年収ごとにシミュレーションをしていきます。

年収による税額の違いをご説明する為には、年収以外の数字は変わらないことが望ましいので、ある人物像を設定しました。

設定人物
  • 東京都世田谷区在住
  • 33歳男性、独身
  • Webデザイナー
  • 経費は年間60万円

この人の場合、どのくらいの税金を払うことになるのでしょうか。
住む場所や家族構成によっても変動はありますが、この人のケースとご紹介する計算方法を基に自分の税額を確かめてみてください。

年収200万の場合

まず、年収200万円の場合を見ていきます。

住民税の計算方法は

  • 市区町村民税の場合:(所得金額-所得控除)×市区町村民税額
  • 都道府県民税の場合:(所得金額-所得控除)×都道府県民税額

でした。

所得金額は「収入-経費」ですので、200万-60万(経費)=140万円が彼の所得です。
ここから様々な控除を引いた額に税率をかけることになります。

彼が受けることのできる控除は、

  • 基礎控除(33万円)
  • 社会保険料控除

です。

この2つは国民年金を支払っている方であれば申告が可能なものです。

社会保険料控除は、前年度に払った国民年金保険料をそのまま差し引くことが出来ます。
計算を分かりやすくするために、前年度は16,000円/月払っていたということにしましょう。

年収200万の場合のまとめ

個人事業税は、年収290万円以上で課税されますので、今回は課税対象ではありません。
その為、年収200万円の彼が払う税金は、以下の通りになります。

・住民税     88,000円
・所得税     9,000円
・国民健康保険料 153,078円
・国民年金税   196,080円
合計       446,158円

この所得金額のフリーランスの方は、年収の2割以上が税金で引かれるという結果になりました。
種類の異なる税金の支払いが同じ月になるとなかなか大変ですので、これを見越して、ある程度貯蓄をしておくと良いでしょう。

年収400万の場合

続いて年収が400万円に上がった場合の税金額を見ていきます。

まずは、年収から先ほどと同様に「所得」を計算しておきましょう。
今回は400万-60万(経費)=340万円を所得として計算します。

年収200万円の場合と同様に、
市区町村民税:(所得金額-所得控除)×市区町村民税額
都道府県民税:(所得金額-所得控除)×都道府県民税額
で計算をしていきます。

所得控除は誰にでも与えられる基礎控除が33万円、社会保険料控除が19万円です。
国民年金保険料も収入の差に関わらず同じ金額となりますので、この部分は年収に左右されることはありません。

年収400万の場合のまとめ

年収400万のフリーランスに課される税金は以下になります。
・住民税     288,000円
・所得税     120,500円
・国民健康保険料 343,878円
・国民年金税   196,080円
・個人事業税    25,000円
計        973,458円

実に年収の4分の1を支払わなければいけませんので、できるときにコツコツと貯蓄をしていくことが大切です。

年収600万の場合

年収600万円の場合は、これまでの例と比べても所得金額と所得税の計算式が少し変わる程度ですので、計算式のみで簡単に解説をしていきます。

年収600万の場合のまとめ

これらを合計すると
・住民税     488,000円
・所得税     409,000円
・国民健康保険料 534,678円
・国民年金税   196,080円
・個人事業税   125,000円
計        1,752,758円

1ヶ月ごとに換算しても14万円以上支払う必要があります。年ごとの収入に変化のある方は注意しておくべきでしょう。

年収800万の場合

これまで通り、まずは所得を計算します。
800万-60万=740万

これを用いて住民税から計算していきましょう。

年収800万の場合のまとめ

これで年収800万円の場合に支払う税金の計算が終わりました。
上記のものを総合すると
・住民税     688,000円
・所得税     809,000円
・国民健康保険料 725,478円
・国民年金税   196,080円
・個人事業税   225,000円
計       2,643,558円
となります。

税金はそのほとんどが累進課税制度を採用していますので、収入が増えれば増えるほどもちろん税額も増していきます。

正社員と比較して収入が不安定であるフリーランスの場合は、何らかの事由によって働けなくなってしまった時、翌年の税金に苦しめられるということは十分想定できます。

繰り返しになりますが、いざという時の為の蓄えや節税は必須であるといえるでしょう。

年収1,000万の場合

最後に年収が1,000万円の場合の税額をシミュレーションしていきます。
まずはこれまで通り、所得を算出しましょう。
1,000万-60万=940万

年収1,000万の場合のまとめ

以上から年収1,000万の場合の税金額は
・住民税     888,000円
・所得税    1,289,100円
・国民健康保険料 916,278円
・国民年金税   196,080円
・個人事業税   325,000円
計       3,614,458円
です。

今回は、経費が60万円で税金対策は青色申告をしているのみの場合でシミュレーションしたため、このように年収の3分の1以上を占める高額の税金を支払うという結果になりました。

この年収帯であれば、下手に仕事量を増やすよりも税金対策を行うほうが手元のお金を増やすことに繋がるでしょう。

その為、次の項にてフリーランスの方が行うべき節税対策をご紹介します。

フリーランスが税金を抑える対策方法は?

節税の図解

フリーランスとして普通に働いていると、税金がいかに重い負担であるかということを確認することが出来ました。

続いてフリーランスとして働くのであればやっておくべき最低限の節税方法と、青色申告の申請方法をご紹介します。

節税の基本は「所得を減らすこと」です。

税金は基本的に累進課税制度を採っていますが、それらは全て「収入」ではなく「所得」に税が掛けられます。

収入を減らすのではなく経費を増やすことで、無理なく税金対策をしていきましょう。

経費を漏らさずに申告する

フリーランスとして働いている場合、税金額が同じ年収帯の正社員よりも高額になってしまうことがあります。
この理由の一つとして、「給与所得控除」を受けることが出来ないという点が挙げられます。

給与所得控除とは、大まかに説明すると「サラリーマンの必要経費」です。この給与所得控除は年収に応じてその額が決定され、最大で220万円(平成30年度現在)の控除を受けることが可能になります。

これにより正社員の所得(給与-経費)は何も申告せずとも一定額引き下げられることになりますが、フリーランスはこれを受けることが出来ません。

しかし、その代わりフリーランスは自身で必要経費を申請することが出来ます。
職務に関係のあるものであればPCや書籍の購入費用も、旅費も全て申請することが出来ます。

先ほどご説明した通り、税金を抑える為に必要なことは「所得を減らす」こと。
少しでも仕事の為に使用したと思ったら、必ず領収書を控えて経費にすることを徹底しましょう。

青色申告を申請する

続いて、今回のシミュレーションで用いた青色申告の方法をご紹介します。

青色申告は、申告を行う年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を届け出る必要があります。
申請が承認されると、確定申告の際に「青色申告決算書」と「確定申告書B」を提出することで青色申告特別控除を受けることが出来ます。

それと同時に帳簿の記帳と帳簿書類の保存が必要になりますが、これに関しては平成26年1月から全ての個人事業主に義務付けられることになりました。

その為、青色申告を行わない場合であっても帳簿の記帳は必須となります。

帳簿の記帳などは簿記の知識が必要ですが、今では個人事業主の為の会計ソフトも充実していますので、それを用いることで学習に要する時間を短縮することが出来ます。

会計ソフトを利用することで煩雑な確定申告の手間を省き、時間を有効に活用することをお勧めします。

税金の目安を知り早めに対策を立てよう

フリーランスの方が気をつけるべき税金として

  • 住民税
  • 所得税
  • 国民健康保険料
  • 国民年金税
  • 個人事業税

をご紹介し、それぞれ年収別の金額を概算しました。

フリーランスとして何の税金対策もなく働いていると、翌年に税金額の高額さに驚くことになるかもしれません。
それを防ぐ手段として、普段から「所得を減らす」ことをお勧めします。

確定申告は手続きも複雑で、その名前を聞くのも嫌な方もいるかもしれませんが、税金対策をしっかりしているかどうかで手元に残る金額には大きな差があります。

普段からコツコツと税金対策を行い、翌年の税金に備えておきましょう。

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